結婚式において父親としての立場を担うことは、誇らしくもあり、同時に大きな責任を伴います。中でもモーニングコートを着用する場面では、ネクタイの色選びや結び方ひとつで、印象に大きな差が出ることをご存じでしょうか。
本記事では、モーニングスタイルにおけるネクタイの選び方を中心に、ワイシャツやポケットチーフ、靴下に至るまで、フォーマルシーンで品格を保つための装いを丁寧に解説します。たとえば、どんな色のネクタイが写真映えし、どの結び方が装いに調和するのか。さらに、シャツの襟元に合うノットの選び方や、ディンプルで立体感を出すコツなど、細かなディテールも押さえています。
また、色味や質感の合わせ方、小物使いのマナー、見落としがちな靴下の選び方、そしてモーニングの着付けで失敗しないポイントまで網羅。結婚式という特別な日に、父親としての信頼感と格式をしっかりと伝えるための“正解”が詰まっています。
大切なお子様の晴れ舞台に、恥じない装いで臨みたい方に向けて。初めての方にも経験者にも役立つ情報を、豊富な具体例と共にお届けします。どうぞ最後までご覧ください。
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父親が結婚式で着用すべきモーニングとネクタイの正しい組み合わせ
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モーニングに合うネクタイの色と柄の選び方の基本
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ネクタイの結び方やディンプルの作り方による印象の違い
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ワイシャツ・チーフ・靴下など細部の服装マナーと注意点
結婚式で父親が失敗しないモーニング:ネクタイの結び方と色選び
- 父親にふさわしい結婚式ネクタイの色はこれ
- モーニングに合うネクタイとは?選び方の基本ルール
- 避けるべきネクタイの色・柄とその理由
- ネクタイの結び方はプレーン・ウィンザー・ダブルどれが正解?
- ディンプルは必要?印象を左右する結び目の作り方
父親にふさわしい結婚式ネクタイの色はこれ

父親にふさわしい結婚式ネクタイの色はこれ
結婚式に出席する父親が選ぶべきネクタイの色は、「シルバー系の無地」または「白黒のレジメンタルストライプ(斜め縞)」が最適です。これらは日本の正礼装における定番であり、新郎新婦の父親として品位を保ちつつ、主張しすぎないバランスのとれた選択とされています。
シルバー無地:控えめながら上質な印象
シルバー無地のネクタイは、光沢感がありながらも過度に目立たず、親族代表としての落ち着いた雰囲気を演出できます。特に100%シルク製で織りのある素材を選ぶと、自然なドレープとツヤが生まれ、胸元をより洗練された印象に整えてくれます。価格帯としては8,000円〜15,000円ほどのものが品質的に安心です。
写真撮影の多い結婚式では、シルバーは照明の反射で顔まわりを明るく見せる効果もあり、実用性と見栄えの両方を兼ね備えたカラーといえます。
白黒レジメンタルストライプ:伝統的な正礼装の象徴
白と黒の斜め縞ネクタイは、モーニングスタイルの代表的なアイテムの一つです。特に英国式の礼装文化にルーツを持ち、日本のフォーマルシーンにも深く根付いています。柄物でありながら上品にまとまるのは、色数を抑えたストライプならではの特徴です。
幅は7.5cmから8.5cmが標準とされ、ベストとの重なりやVゾーンとのバランスを整えるうえでもちょうどよい太さです。
避けるべき色と柄
黒無地のネクタイは、弔事用であるため結婚式では絶対に避けてください。また、赤・黄・金といった派手なカラーや、大きなドット、アニマル柄、カジュアルなチェック柄などは、主役である新郎新婦よりも目立ってしまう可能性があり、マナー違反となります。
たとえブランド物や高級素材であっても、「場にふさわしいか」が優先されるのがフォーマルスタイルの鉄則です。
色選びに迷った場合の対処法
もし色や柄で迷った場合は、迷わず「無地のシルバー」か「白黒ストライプ」を選べば間違いはありません。フォーマル売場や専門店では、結婚式用にコーディネートされたセット販売やアドバイスも受けられます。
モーニングに合うネクタイとは?選び方の基本ルール

モーニングに合うネクタイとは?選び方の基本ルール
モーニングコートにふさわしいネクタイを選ぶには、単に色を整えるだけでなく、「素材・サイズ・質感・柄」の4点を総合的に考慮することが重要です。特に父親としての立場をわきまえた控えめな上品さが求められます。
まず素材はシルク100%が基本。中でも「ツイル織り」や「サテン織り」のネクタイは適度な光沢と立体感があり、フォーマルな場に最適です。価格の目安としては、品質の高いシルクタイは5,000〜15,000円が相場となります。
次にサイズ。大剣幅は7.5cm〜8.5cm、長さは145cm前後が標準で、結び終えた際にタイの先端がベルトのバックル中央に来るように調整してください。幅が広すぎると古臭く、細すぎるとカジュアルになりがちです。
柄の選び方も大切です。無地は最も格が高く、シルバーやグレーを選べば文句なしの正礼装になります。一方、織り柄入りのシルバー系であれば、多少の華やかさを添えることが可能ですが、あくまで控えめに。
避けるべきはプリント柄やツヤの強すぎるラメ糸使用、そしてパステルカラーや派手なチェック柄など。これらはビジネスやカジュアル寄りの印象を与え、モーニングの格調を損ねかねません。
このように、ネクタイ一つで装い全体の印象が大きく左右されるため、専門店での購入・相談を前提に、バランスの取れた一本を選ぶことが肝要です。
避けるべきネクタイの色・柄とその理由

避けるべきネクタイの色・柄とその理由
父親として結婚式に出席する際、選んではいけないネクタイの色や柄には明確な理由があります。どれほど高価なものであっても、「場にそぐわないデザイン」は装い全体の印象を損ねてしまいます。
まず、黒無地のネクタイは弔事用と位置づけられており、慶事の場では厳禁です。また、赤系統のネクタイは情熱的で攻撃的な印象を与えやすく、祝宴の席では自己主張が強すぎると受け取られる恐れがあります。さらに、濃紺や深緑などのダークトーンもビジネス色が強いため、フォーマルな華やかさに欠ける点が問題です。
次に、柄物に関しては以下のものが避けるべき対象です:
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アニマル柄(例:ゼブラ柄、ヒョウ柄):格式を大きく損ないます
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大きなドットや派手なチェック柄:視線を集めすぎるため、主役を引き立てる立場として不適切
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金やメタリックの強い光沢のあるデザイン:夜のパーティーには適していても、昼間の正礼装には不釣り合いです
これらを避ける理由は、すべて「控えめな品格」と「調和」を重視するフォーマルマナーに基づいています。仮に価格が3万円以上する高級ブランドのネクタイであっても、柄や色が目立ちすぎるものであれば不適格です。
正礼装で重要なのは、自分を引き立てることではなく、主役である新郎新婦を引き立てること。そのため、目立ちすぎず落ち着いた印象を与えるネクタイを選ぶことが、父親としての品位を守る鍵となります。
ネクタイの結び方はプレーン・ウィンザー・ダブルどれが正解?

ネクタイの結び方はプレーン・ウィンザー・ダブルどれが正解?
結婚式において父親が着用するモーニングには、「プレーンノット」または「セミウィンザーノット」が最もふさわしい結び方です。選択の基準は、シャツの襟型との相性と、ネクタイのボリューム感にあります。装い全体に統一感を持たせるためには、見た目のバランスと格式を考慮した結び方が求められます。
プレーンノット:万能で洗練された結び方
プレーンノット(シンプルノット)は最も基本的で細身の結び目を作るスタイルです。特にレギュラーカラーやセミワイドカラーのシャツと相性が良く、結び目が小さめで控えめなため、モーニングの落ち着いた印象に自然と馴染みます。ネクタイの厚みにもよりますが、1回巻きのため長さの調整がしやすく、身長170cm以上の方にもおすすめです。
セミウィンザーノット:品格とバランスを兼ね備えた形
セミウィンザーノットはプレーンよりもやや厚みがあり、三角形の美しいシルエットが特徴です。ワイドスプレッドカラーやカッタウェイカラーなど、襟の開きが広いシャツと特に調和します。適度なボリューム感がありながらも上品で、写真映えも良好です。ウィンザーノットよりも結びやすく、ネクタイの長さも標準(約145cm)で対応可能です。
ダブルノットは避けるべきか?
一方でダブルノット(ダブルループノット)は、ボリュームが出すぎるため、モーニングには不向きな場合が多いです。シャツの襟を押し上げてしまったり、ベストとの間に不自然な段差が生まれるなど、フォーマルな装いにおいてはデメリットが目立ちます。特にシルク製の厚めのネクタイでは、ノットが不格好になりやすく、避けるのが無難です。
結び方選びのポイント
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シャツの襟がレギュラーやセミワイド:プレーンノット推奨
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襟の開きが広いワイドスプレッドやカッタウェイ:セミウィンザーが最適
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ボリューム感を出したい場合でも、ウィンザー止まりにしておくのが無難
このように、ネクタイの結び方ひとつで、装いの完成度は大きく変わります。結婚式という厳粛な場では、形を整えたうえで「控えめな品格」が漂うノットを選ぶことが、父親としての印象を高める第一歩です。
ディンプルは必要?印象を左右する結び目の作り方

ディンプルは必要?印象を左右する結び目の作り方
ネクタイにおける「ディンプル(dimple)」は、結び目のすぐ下に生じるくぼみであり、Vゾーンの立体感を演出する重要な要素です。結婚式のような格式ある場では、ネクタイの仕上がりが全体の印象を左右するため、ディンプルの有無が見た目に大きな差を生むことになります。
ディンプルの役割と効果
ディンプルを作ることでネクタイの中心に陰影が生まれ、光の反射による立体感と、きちんとした印象を与える効果があります。特に結婚式では写真撮影の機会が多く、フラッシュや自然光が顔まわりに集中する中で、ネクタイのディンプルがあるかないかは、画面上の印象に明確な違いをもたらします。
加えて、ディンプルがあることでネクタイがしっかりと固定され、時間が経っても結び目が緩みにくくなるという実用的な利点もあります。
作り方のコツ
美しいディンプルを作るには、ネクタイを結ぶ際に「結び目を完成させる直前」で人差し指を使い、中央の生地を内側に押し込みます。その後、左右の端を均等に引き、くぼみの形を整えることで完成します。目安としては、くぼみの深さが約1cm程度、左右非対称にならないことがポイントです。
プレーンノットやセミウィンザーなど、結び目が比較的小さなスタイルで特に効果的です。反対に、ディンプルを深く入れすぎたり、幅広ネクタイで強調しすぎると、カジュアルな印象になりやすいため注意が必要です。
フォーマルな場面では、ディンプルは「必須」ではないものの、「ある方が断然好印象」です。丁寧な身だしなみの証として、父親の立場で結婚式に出席する際には、自然で美しいディンプルを意識して仕上げることを強くおすすめします。
結婚式で父親が選ぶべきモーニング:ネクタイの結び方と色に合わせた服装マナー
- 男性の結婚式服装はモーニングが定番、その理由
- モーニングに合わせるワイシャツの選び方
- ポケットチーフのマナーと父親らしい品格の演出
- 靴下も見られる!父親にふさわしい足元マナー
- 着付けで差がつく!モーニングを美しく着るポイント
- モーニングの色と素材で印象が決まる
- ワイシャツ・ネクタイ・チーフの色合わせ術
- 父親の装いでやりがちなNGアイテムとは
男性の結婚式服装はモーニングが定番、その理由

男性の結婚式服装はモーニングが定番、その理由
日本の結婚式において、父親が昼間の挙式で着用する正礼装として最もふさわしいのが「モーニングコート」です。これは単なる慣習ではなく、礼装の格式に基づく明確なルールに裏付けられています。
モーニングコートが第一礼装とされる理由
モーニングは「昼の正礼装(デイタイム・フォーマル)」に分類され、英国の宮廷文化を起源に持つ格式あるスタイルです。日本でも大正〜昭和期にかけて広まり、現在では午前中から午後6時までの結婚式で、父親が着用すべき第一礼装とされています。
この装いには、黒のカットアウェイジャケット、グレーのストライプパンツ(通称コールズボン)、白シャツ、シルバーベスト、そしてシルバー系ネクタイを基本構成とし、「親族代表としての威厳と礼節」を体現できるのが最大の特徴です。
他の選択肢との比較
一方、夜間の披露宴や式では、タキシードや燕尾服が正礼装にあたります。しかし、日本では時間帯による礼装の厳密な使い分けが一般化しておらず、18時以降の式でもモーニングが選ばれることは少なくありません。
また、和装の「黒紋付羽織袴」も選択肢としてありますが、現代ではモーニングの方が着慣れやすく、レンタルサービスも豊富に存在するため、実用性の面からも洋装が主流となっています。
モーニングが選ばれる3つの理由
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格式が高い:昼の正礼装としての公的な位置づけ
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場を問わない:教会式・神前式・人前式いずれにも対応可能
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信頼感と安心感:新郎新婦の父として「きちんとした人」と映る
このように、モーニングは単なる伝統ではなく、「見た目」と「意味」の両面で父親の役割に最も適した装いなのです。
モーニングに合わせるワイシャツの選び方

モーニングに合わせるワイシャツの選び方
結婚式でモーニングを着用する父親にとって、ワイシャツの選び方は装いの完成度を大きく左右します。基本は「白無地」「長袖」「上質素材」の3点を満たすものを選ぶことです。とくに、シャツはネクタイやジャケットとの相性が重要で、質の高さがそのまま清潔感や品格に直結します。
襟型の選び方
最も格式が高いのは「ウィングカラー」です。タキシードにも合わせられるこの襟型は、襟先が立ち上がり、蝶ネクタイと合わせるのが本来のスタイルですが、シルバー系ネクタイとも調和します。ただし、やや硬い印象になるため、現在では「セミワイド」または「ワイドスプレッドカラー」が広く受け入れられています。これらは首まわりがすっきり見えるため、写真写りも良好です。
避けるべき襟は、ボタンダウン、タブカラー、ラウンドカラーなどです。これらはビジネスまたはカジュアル寄りの印象が強く、モーニングには不適です。
生地と袖口のポイント
生地はコットン100%で、120番手以上の細番手糸を使用した高密度織りが理想です。高級シャツブランドでは「双糸(ツインヤーン)」を採用しており、滑らかな手触りと自然な光沢が特徴です。価格帯としては1万円前後〜が品質の目安になります。
袖口はダブルカフス(フレンチカフス)を選び、カフリンクスで留めるのがフォーマルの鉄則。白蝶貝やパール、シルバー製のカフリンクスは、派手さを避けながらも品格を保つアクセントとして効果的です。
このように、シャツ一枚の選び方でも父親としての印象に差が出ます。既製品でも構いませんが、可能であればサイズ感の合うオーダーシャツを検討するのもひとつの手段です。
ポケットチーフのマナーと父親らしい品格の演出

ポケットチーフのマナーと父親らしい品格の演出
ポケットチーフは、モーニングスタイルにおいて胸元を引き締め、全体のバランスと格式を整える重要なアクセントです。結婚式というフォーマルな場面では、父親として“華やかすぎず、地味すぎない”絶妙な品格を演出するための小物として活躍します。
色と柄の基本ルール
まず選ぶべきは「白無地」または「淡いシルバー系」。これは昼間の正礼装であるモーニングに最もふさわしい配色とされ、主役である新郎新婦を引き立てながらも、自身の立場を明確に表現できます。柄物や原色系のチーフは避けましょう。視線を集めすぎたり、主役よりも目立つリスクがあるため不適切です。
折り方のマナーと選び方
正式な折り方は「スリーピークス」。3つの山が均等に見えるように折り出す方法で、格式を重んじる場面にふさわしいデザインです。自分で折るのが難しい場合には、事前に成形されたタイプ(プリセットチーフ)も市販されており、価格は2,000〜4,000円程度で購入可能です。
素材はシルク、リネン、または高品質コットンがおすすめ。シルクは光沢があり、写真映えしますが、柔らかいため型崩れしやすいのが難点。リネンは張りがあり、折り目をしっかり保てるため初心者にも扱いやすい素材です。
トータルコーディネートの注意点
ネクタイとポケットチーフを「セット」で選ぶ場合もありますが、完全に同じ色・柄ではなく、“同系色の濃淡”にすると自然な統一感が生まれます。例として、シルバーグレーのネクタイに対しては、ホワイトにわずかに光沢を加えたシルクチーフが好相性です。
父親の装いにおいては「控えめな美しさ」が最も重要。チーフ一つにも気を配ることで、全体の印象が大きく変わるのです。
靴下も見られる!父親にふさわしい足元マナー

靴下も見られる!父親にふさわしい足元マナー
結婚式では、意外にも足元に目がいく場面が多くあります。だからこそ、父親としてふさわしい靴下を選ぶことは、見落とされがちですが非常に重要です。
基本的には、黒のロングホーズ(膝下まである靴下)を選ぶのがマナーとされています。理由としては、着座時にすねが見えることを防ぎ、フォーマルな印象を保つためです。特に親族集合写真やスピーチの際など、ゲストから注目を浴びるシーンでは足元の乱れは大きな減点要素になり得ます。
市販されている安価な靴下の中には、伸びが悪く、着用中にずり落ちるものもあります。1,500円〜3,000円程度の品質の良いロングホーズを選ぶことで、終日快適に過ごすことができるでしょう。
また、素材はナイロンではなく、ウールやコットンなどの天然素材が肌触りも良く、通気性・吸湿性にも優れています。ビジネス用の柄入りソックスや短い靴下は絶対に避けましょう。
着付けで差がつく!モーニングを美しく着るポイント

着付けで差がつく!モーニングを美しく着るポイント
モーニングコートは“着るだけで正装になる”と思われがちですが、実際には「着付け」の精度が見た目の印象に直結します。サイズ感、姿勢、小物の配置まで、細部を整えることで「ただの正装」が「格調高い装い」に昇華されます。
1. ジャケットのフィット感と姿勢
モーニングのジャケットは、通常のスーツと比べて丈が長く、膝裏まで届くのが特徴です。そのため、肩から背中にかけてのラインに乱れが出やすく、**肩幅はジャストサイズ(±1cm以内)**が望まれます。試着の際は、背筋を伸ばし、自然に腕を下ろした姿勢でフィットを確認しましょう。背中にシワが寄る、襟が浮くといった状態は、サイズ不適または姿勢の乱れが原因です。
2. パンツ(コールズボン)の整え方
パンツはグレーの縞模様(通称コールズボン)が基本で、センタークリースがしっかり入っていることが必須条件です。裾丈は**ハーフクッション(靴の甲に軽く当たる程度)**が基本。長すぎると裾がたるみ、短すぎると足首が見えて不恰好です。立った状態と座った状態、両方を確認して調整しましょう。
3. ベスト・シャツ・サスペンダーのチェックポイント
ベストは前ボタンをすべて留め、裾がネクタイの剣先にかかるくらいの長さが適切です。シャツの裾やサスペンダーがジャケットの裾から見えるとだらしない印象を与えるため、必ず鏡で全身をチェックします。ベストの背面が大きく膨らんでいないか、シャツの袖口が1〜1.5cm程度見えているかも忘れず確認を。
4. 最後の仕上げは「姿勢と立ち居振る舞い」
いかに衣服が整っていても、猫背や手の置き方で台無しになることも。胸を張り、肩を落としてリラックスした姿勢を保つだけで、着姿が格段に映えます。鏡で「後ろ姿」「横姿」も確認するのがプロの所作です。
このように、モーニングは「着こなす」ことが前提の装いです。正しい着付けを意識することで、父親としての品格が確実に伝わります。
モーニングの色と素材で印象が決まる

モーニングの色と素材で印象が決まる
モーニングの印象は、生地の質と色味によって大きく変わります。特に注目すべきは「黒の深さ」と「生地の光沢感」です。
格式の高い場で求められるのは、いわゆる“漆黒”に近い深い黒です。実際、多くの既製品では染色の関係上、やや赤みや青みがかった黒になる傾向があります。これを避けるには、礼服専門店やオーダースーツ店で「黒の純度」が高いものを選ぶのが確実です。
また、生地の光沢は派手すぎてもいけませんが、まったくマットすぎても質感が貧相に見えることがあります。適度なツヤと柔らかさ、そしてドレープ感のあるウール生地が理想です。
レンタルの場合は、使用頻度やクリーニングの影響で生地が傷んでいることもあるため、試着時に「生地のヌメリ感」や「自然な光沢」があるかを確認しましょう。自分が主役ではなくとも、装いの格が周囲に与える印象は非常に大きなものです。
ワイシャツ・ネクタイ・チーフの色合わせ術

ワイシャツ・ネクタイ・チーフの色合わせ術
父親のモーニングスタイルにおいて、ワイシャツ・ネクタイ・ポケットチーフの色合わせは、清潔感と品格を同時に演出する重要な要素です。単品で適切なアイテムを選んでも、全体のバランスが取れていなければ「ちぐはぐな印象」や「場違い感」を生む可能性があります。
基本は「無彩色+同系色」の3点構成
もっとも無難かつ美しく見える配色は、「ホワイト×シルバー×ホワイト」または「ホワイト×ペールグレー×ホワイト」です。
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ワイシャツ:白無地(純白またはオフホワイト)
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ネクタイ:シルバー無地または織り柄入りの淡グレー系
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チーフ:白無地(シルクまたはリネン)
この組み合わせは昼の正礼装として格式を満たしながら、主張しすぎず新郎新婦を立てる配慮にもなります。
色だけでなく「質感の統一」がカギ
注意すべきは、単なる色味の一致だけでなく「質感の調和」です。たとえば、ネクタイに強い光沢(サテン調)がある場合、チーフが完全なマット素材(コットンなど)では視覚的なバランスが崩れます。両者を合わせる際は、同じく光沢を帯びたシルク製か、リネンに若干の光沢加工を施したものを選ぶと自然です。
色の濃淡の取り入れ方
一歩踏み込んだ配色テクニックとして、「ネクタイにグレーの織り柄」「チーフにごく薄いストライプ」など、無地に見える程度の柄や濃淡を加えることで、上級者らしい奥行きが生まれます。
たとえば、シャツを真っ白、ネクタイをライトグレー、チーフをごく薄いアイボリーにするなど、色差が10%以下の配色であれば統一感を保ちつつ個性を演出できます。
最後は「実物を並べて確認」
購入時には、店舗で3点を横に並べ、自然光または明るい照明下で全体の印象を確認することが大切です。特に異なるブランドや素材でそろえる場合は、微妙な色味の違いや繊維の反射率によって見た目に差が出るため、可能な限り試着・比較を行いましょう。
このように、色合わせは「同系色で整える」だけでなく、「質感」「濃淡」「素材感」のトータルバランスが求められます。細部に気を配ることで、父親としての品格が自然に表れるスタイリングが完成します。
父親の装いでやりがちなNGアイテムとは

父親の装いでやりがちなNGアイテムとは
最後に、結婚式における父親の装いで見られるNGアイテムや失敗例を紹介します。これを避けるだけで、装いの完成度は飛躍的に向上します。
まず、黒のネクタイは絶対にNGです。これは弔事専用のものであり、慶事では避けるべきものです。次に、カジュアルなボタンダウンシャツや柄のあるワイシャツも不適切です。これらはビジネスやカジュアルシーンでは問題ありませんが、結婚式という儀礼の場には相応しくありません。
さらに、派手すぎる時計やカフスボタン、大きなブランドロゴが目立つベルトも避けた方が賢明です。フォーマルな場では、控えめで質の良いアイテムを選ぶことが鉄則です。
また、靴にも注意が必要です。エナメル靴(オペラパンプス)はタキシード向けであり、モーニングには不向きです。黒のストレートチップで、内羽根式の革靴が正解となります。
このように、細部にまで配慮された装いは、父親としての責任感とホストとしての気品をしっかりと表現してくれます。
「結婚式にふさわしい父親のモーニングネクタイの結び方と色選び」に関する総括
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ネクタイの色はシルバー無地または白黒のレジメンタルストライプが定番
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シルバー無地は控えめな光沢で上品な印象を演出できる
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白黒ストライプは伝統的な正礼装スタイルとして根強い人気がある
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黒無地のネクタイは弔事用のため結婚式では絶対に避ける
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派手な色や大柄・動物柄などのネクタイは場にふさわしくない
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ネクタイの素材はシルク100%が基本で光沢と立体感があるものが良い
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大剣幅は7.5~8.5cm、長さは145cm前後がバランスの良いサイズ
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プレーンノットは汎用性が高く、シャツとの相性も幅広い
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セミウィンザーはボリュームがあり、ワイドカラーのシャツに適している
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ダブルノットは結び目が大きくなりすぎ、モーニングには不向き
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ディンプルを入れると立体感が出て写真映えしやすくなる
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白無地または淡いシルバーのポケットチーフがモーニングには最適
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ワイシャツは白無地、セミワイドまたはウィングカラーがふさわしい
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シャツの袖口はダブルカフスでカフリンクスを使用するのが正式
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色合わせはホワイト×シルバー×ホワイトで統一感と品格が出る